魚料理をしていると絶対にぶつかるであろう壁、
そう、それは
魚料理において嫌な臭気を取り除くことは不可避の命題であります。
調理前!調理中!調理後!食事中!
うまく処理できなければ各段階で臭いに悩まされるでしょう。
この記事では魚の生臭さの原因物質としてよく取り上げられる、
の性質を理解し、臭みに対してどうアプローチするべきかを考えてみましょう。
目次
・放置すると増えます
・アルカリ性です
・水溶性です
放置すると増えます
トリメチルアミンは魚に元々含まれている物質、トリメチルアミンNオキシドが還元されて生じます。
トリメチルアミンNオキシド(TMAO)→トリメチルアミン(TMA)
この還元は大腸菌 Escherichiacoli や一部の細菌 Proteus vulgaris や Alteromonas putrefaciens などによってもたらされるとされています。
また、異なる酵素や微生物が華麗な連携プレーを見せてTMAOをTMAにすることもあります。
この還元は基本的に死後に行われ、魚の生体中にはトリメチルアミンは多く含まれていません。
簡単に言うと、
魚が死んでから体内の酵素や微生物が臭みの原因を作ってるよ!
ってことです。
なので酵素や微生物が多く潜んでいる内臓や血を取ったり、
酵素活性を低くするために低温を保ったりして、
臭いの発生(トリメチルアミンの産生)を抑制しています。
(TMAOは血合い肉の多い魚、例えばサバなどに多く、足が早いとされる所以でもあります。)
アルカリ性です
酸性の物質を加えて化学反応をさせるとにおいが発生しなくなります。
例えば
しめ鯖、寿司、付け合わせのレモンやすだち、カルパッチョ
等々、酸性の食材と仲良くやってます。
魚焼きグリルの下皿にみかんの皮が置くのもこの効果を狙っている…?のかもしれません。
水溶性です
水によく溶けます。なので
魚に塩を振って浸透圧で水分を追い出したり、浸透圧シートでくるんで水分を抜いたりという行為には臭み抜きの側面があります。
魚を捌くときにちょくちょくまな板を拭く行為にも余計な臭みを魚肉に移さない、という効果がありますぞ!レッツフキフキ!
参考文献
徳永俊夫(1970).魚類血合肉中のトリメチルアミンオキサイドならびにその分解-I. 普通肉と血合肉におけるTMAO,TMA,DMAの含量(日本水産学会誌 36巻 5号 p.502-509)
徳永俊夫(1970).魚類血合肉中のトリメチルアミンオキサイドならびにその分解-Ⅱ. 貯蔵中におけるDMA,TMAの生成 (日本水産学会誌 36巻 5号 p.510-515)
下村道子,吉松藤子,松元文子(1971).魚の加熱調理あじのにおいについて(家政学雑誌 22巻 2号 p.106-112)
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